2022.03.22

「ポータブル電源といえばJackeryジャクリ」短期集中型の段階的なクロスメディア戦略で業界トップブランドを確立

Jackeryジャクリ品川駅ショーケース広告

品川ショーケースでの商品展示

Jackeryジャクリ社JR東日本東京中央通路電照デジタルシートセット広告

東京中央通路電照デジタルシートセット

Jackeryジャクリ社JR東日本品川フラッグ(中央改札内)広告

品川フラッグ(中央改札内)

品川ショーケースでの商品展示

品川ショーケース

ZeroBase渋谷での商品展示の様子

ZeroBase渋谷(ポップアップストアでの商品展示の様子)

ZeroBase渋谷(外観)

JR東日本トレインチャンネル(全線セット)

トレインチャンネル(全線セット)

JR東日本中づり(首都圏全線セット)

中づり(首都圏全線セット)

JR東日本ハチコーボード3

ハチコーボード3

  • CLIENT

    株式会社Jackery Japan

  • AREA

    首都圏(渋谷・品川・東京等)

  • CASE

    2020年12月~2021年10月、東京中央通路電照デジタルシートセット、品川フラッグ(中央改札内)、品川ショーケース、首都圏9社局車内ビジョンネットワークセット、首都圏11社局中づりドリームネットワークセット、ドア横新B、ハチコーボード3、ZeroBase渋谷 等

株式会社Jackery Japan 事業統括部マーケティング課 課長 平松 孝太氏

(写真左から)株式会社Jackery Japan 事業統括部マーケティング課 課長 平松 孝太氏
ジェイアール東日本企画 営業本部 第四営業局 第二部 山﨑 卓

グローバルブランドであるJackeryのポータブル電源ですが、日本においては、まだ“知っている人が少ない”製品。市場をイチから切り開くべく、「2020年は認知拡大の年」と位置づけ、広告はテレビCM、WEB広告に加えOOHメディア(交通広告、ポップアップストア)と、短期集中でありながらも段階を踏んで展開していきました。
一連の広告施策によりJackeryは業界トップブランドを強固なものにし、販売も好調です。

【UOOH編集部 抜粋Point】
段階的に打ち手を変えた今回のクロスメディア戦略の中でも、特にOOHメディアは重要な役割を担いました。この事例でOOHメディアに期待したことは以下です。

Why? OOH
OOHメディアに期待したこと

  • WEB広告だけだと、新規顧客層への認知が広がらなかったが、駅や街中を行き交う不特定多数の人々に製品を知ってもらうことができる

  • 公共空間の広告を行うことで会社としての信頼度が上がる

  • インパクトのある屋外広告とイベント(現物との接点)を実施することで話題を創出できる

Jackery Japan(ジャクリ ジャパン)
Jackery ブランドは、創立メンバーにAppleの元バッテリーエンジニアが加わり、2012年米国にてJackery Inc.として設立されました。主要製品であるポータブル電源は全世界販売台数100万台以上を突破。日本法人である株式会社Jackery Japanは2019年に設立され、ポータブル電源及びソーラーパネル等の販売を行っています

新規顧客層へ認知を広めるにはオフライン施策が必須。

―――まずは、Jackery Japanの事業内容と主要製品を教えてください。

平松 アメリカ発祥のJackeryはアウトドア用や防災用の大容量ポータブル電源と太陽エネルギー製品を主体に、開発・生産・販売の一気通貫を行っています。ポータブル電源は一般的なモバイルバッテリーより容量が大きく、AC電源がついているのでさまざまな電化製品へ給電できる便利で安全な製品です。
しかし、ポータブル電源は日本ではあまり認知されていません。そこで日本の拠点としてJackery Japanが2019年に設立され、製品販売はもちろんのこと、Jackeryを皆さんに知っていただきたい、ひいては日本にポータブル電源を広め、根づかせる活動を行っています。

―――「Amazon.co.jp 出品者アワード2021」のイノベーティブブランド賞を受賞されました。賞を受賞したのはたったの22社。なかなか受賞できるものではありません。おめでとうございます。

平松 ありがとうございます。製品の品質・技術及びAmazonサイトでのブランド強化施策などを評価していただきました。満足度の高い口コミのおかげもあり、売上も想定の上をいく結果が出ています。

―――広告施策は調子のよいWEB広告を強化する手もあったかと思うのですが、すぐに交通広告を実施されました。その理由を教えてください。

平松 WEB広告によってアウトドア好きな人や防災意識の高い人へは割と多くリーチできていると思うのですが、WEB広告は興味がないと検索や口コミで繋がらず、ポータブル電源を知らない人はいつまでたっても知らないままです。多くの方へ「こんな画期的な製品があります」と伝えるために、オフライン施策の必要性は最初から戦略としてありました。

株式会社Jackery Japan 事業統括部マーケティング課 課長 平松 孝太氏

株式会社Jackery Japan 事業統括部マーケティング課 課長 平松 孝太氏

初めての交通広告出稿。商品を見た、と声をかけられることが驚くほど増えた!

―――オフライン施策として、なぜ交通広告を選択されたのでしょうか。

平松 私は首都圏において、交通広告はマス媒体の一つだと思っています。誰もがリアルで見ることができる交通広告に出稿するのは、会社としての信頼度と製品のブランド価値が上がると思いました。「ポータブル電源が欲しいと思ったら、そのときはJackery」という流れを日本で作りたい。ジェイアール東日本企画(jeki)  からの「ポータブル電源業界へ、一番先にJackeryの旗を立てましょう」という具体的な企画はとても納得のいくものでした。

―――2020年12月、初めての交通広告展開として、11社局中づりネットワーク、東京駅デジタルシートセット、品川フラッグ及びショーケース等を出稿されました。

平松 多くの人々が行き交うターミナル駅のビジョンにJackeryのポータブル電源とロゴがドーンと映し出されているのを見たときは素直に感動しました。ブランドカラーのオレンジが目立っていましたね。個人的にも広告施策の「やった感」を実感することができ、恥ずかしながら全部の駅を回って写真を撮りました。
 私はこのように目に見える、リアルな施策が大事だと思っています。Jackeryがポータブル電源業界で、最初に交通広告をキチンとやった会社だと思うので、この施策でいいリードをとることができました。

―――見たことがないものはインパクトを残さないと、視界にも入りませんよね。広告展開で印象に残ったことを教えてください。

平松 品川駅では駅構内の一角に製品の現物を飾ったのですが、皆さん足を止めて「へぇー、こんなものがあるんだ」という感じでジーッとご覧になっていたのが印象的でした。その姿を私は横でジーッと見ていたという(笑)。将来、購入してくださるかもしれない方々をリアルに感じることができました。
また、駅コンコースの大きなフラッグは静止画だけではなく、今回は実証実験として動画も映し出され、ポータブル電源を知らない方々へ「アウトドアで使うと楽しい」という使い方の提案も製品展示とセットでできたので、これ以上の訴求はなかったと思います。

動画が投影された品川フラッグ(実証実験)

動画が投影された品川フラッグ(実証実験)

品川ショーケースでの商品展示

品川ショーケースでの商品展示

――――出稿後の周囲の反応はいかがでしたか。

平松 交通広告は正確なリーチ数がわかりにくい側面がありますが…、でも、それにも増して一番手応えを感じたのは、家電量販店の販売員の方からの言葉です。「駅で広告を見たよ。ポータブル電源のブランドだよね」と声をかけられることが驚くほど増えて、とても嬉しいです。

――――2021年4月、テレビCM、9社局車両ビジョンネットワークとJR中づりワイドが出稿されました。一部媒体を変えられたのはどうしてですか?

平松 特に前回施策に不満があったわけではなく、むしろ反響は大きなものでした。このときは新製品発売プロモーションとして、車内媒体が合うと思ったのです。さまざまな交通媒体を試してみたかったのもあります。車内媒体は交通広告の王道ですし、個人的にも好きなので、通勤途中によく見ていますから。
 車両ビジョンは同時期に放映していた新製品のテレビCMを流し、複数接触を狙いました。字幕を有効に使いつつ、「見ればわかる」クリエイティブを作ることが大事ですね。私の肌感覚ですが、この車内媒体のおかげで首都圏での認知度がグンと上がったと思います。

新テレビCM放映やポップアップストア展開も。クロスメディア戦略をさらに加速。

―――2021年10月、新テレビCM、交通広告は、渋谷ハチコーボード3とJRドア横新B、さらにポップアップストアも実施されました。徐々に広告展開が大きくなっていますね。

平松 「ポータブル電源といえばJackery」という業界トップブランドを確立するためには、冬キャンプシーズン・インのここが勝負どころだと思い、新テレビCMも放映しました。短期間のうちにWEBから交通広告、テレビと段階を踏みつつ、それぞれの媒体を同時進行していく手法は、複数接触を促し、認知から販売に結びつけることができたと思います。
テレビCMの制作もjekiに依頼しました。これまでの広告施策から満足のいく効果が出ていたし、何よりもjekiからの提案やフットワークが信頼に値するものでした。
CMは「いい時間を、空の下で。」というキャッチコピーと、「ポータブル電源に繋がれた電化製品を囲みキャンプを楽しむ姿」をシンプルに表現しました。台風接近で撮影が危ぶまれ、ハラハラしたのはいい思い出です。CMは台風一過のすばらしい空気感が表現できたと思います。「密にならないアウトドアはコロナに負けない」といわれていますが、冬のアウトドアシーズンに向け、最高のタイミングで広告展開することができました。

平松氏との対談

話題性を生成するにはリアルな施策が一番。交通広告で誘導したポップアップストア施策では多くのSNS反響が。

―――渋谷にて10日間行われたポップアップストアの反響はいかがでしたか。

平松 まずはハチコーボードからの誘導がうまくいったと思います。イベントをやってもお客さまがいらしてくれなければ意味がありませんから。ハチコーボードは思っていたよりも巨大で、あそこで日常的に待ち合わせをしている人も大勢いて、広告を出すことができて誇らしかったです。
 ポップアップストアは、渋谷の一等地にある「ZeroBase渋谷」にて10日間、「Exploring Base by Jackery」と題して行いました。建物の外壁にもOOHメディアがついており、オレンジのブランドカラーがここでも目立ちました。キャンパーの間で人気のガレージブランド〈M16〉を招き体験型展示やワークショップ、グッズ販売を行い、お客さまに体験していただきながらJackery製品を訴求しました。キャンプタレントによるライブ配信やサンプリングも好評で、SNSでの反響を多く獲得できました。話題性を生成するにはリアルな施策が一番ですね。

事例紹介_ジャクリ

渋谷駅のハチコーボード3でイベント誘導

渋谷の一等地にあるZeroBase渋谷

ZeroBase渋谷での商品展示の様子

ZeroBase渋谷での商品展示の様子

―――コロナ禍でのポップアップストア開催は大変だったと思いますが…。

平松 はい、それはもう(笑)。開催前は不安に押しつぶされそうになりましたが、今は本当にやってよかった、頑張れてよかったと思っています。ポップアップストアへは単純に質問に来られる人、製品を駆使しているユーザー、意外なところでは建設業界の人も多数いらして、お客さまの声をリアルに聞くことができました。
訪れた方々の反応から、製品そのもののポテンシャルが高いため「一家に一台欲しいよね」と思う人が日本にたくさんいる!ということに確信を持つことができました。
一番多かった質問が「私の使い方だったら、どのサイズを買えばいいの?」でした。もちろん想定はしていましたが、改めて、今後は具体的な使い方のシミュレーションなどの発信を強化しなければなりません。また、WEBの口コミとイベントで聞く声が微妙に異なる点も興味深く、今後のマーケティング戦略に活かしたいと思います。

―――最後に、今後の展開を教えてください。

平松 2021年は、「ポータブル電源といえばJackery」という認知度を上げることに重点をおいて短期間に集中し、複数接触してもらえるような広告展開を行ってきました。
2022年はマーケティングとしてもレベルを上げ、ターゲットを整理しつつ、売上にもっとコミットできる戦略的な広告施策を打っていきたいです。製品は安価なものではないので、奇をてらうようなものではなく、メジャー感で勝負していきたい。競合他社も追随してきているので、礎ができたら話題になる施策も必要かもしれません。
業界においてトップブランドを維持するためには交通広告や屋外広告などのリアルな媒体は必須です。今後のJackeryにご期待ください。

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