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2026.06.30

かぜ薬「ルル」が東京駅の新幹線待合室をジャック、帰省客に伝えたいメッセージとは

  • CLIENT

    第一三共ヘルスケア株式会社

  • AREA

    東京

  • CASE

    2025年12月22日~2026年1月4日 JR東京駅・新幹線の待合室

こんにちは、Universal OOH編集部です。
2025年の年の瀬、JR東京駅・新幹線南のりかえ口改札内の待合室がオレンジ一色に染まりました。
これは、第一三共ヘルスケアから販売されている総合かぜ薬“ルル”(※)が展開した空間ジャックです。「薬の使用期限を見直そう」というメッセージを帰省客に伝えるために企画されました。
ふだんはあまり広告展開に用いられない新幹線の待合室という場所を、なぜ選んだのか。なぜこのタイミングだったのか。この企画の仕掛け人である第一三共ヘルスケア北條様に、ジェイアール東日本企画営業担当の濵邉とUniversal OOH編集部の吉田がお話を伺いました。

写真中央:第一三共ヘルスケア 北條秀明様
写真左:ジェイアール東日本企画営業担当 濵邉良彦
写真右:Universal OOH編集部 吉田奈央

―御社が販売されている“ルル”について教えてください。
 “ルル”は、複数の成分をまとめて錠剤にした日本ではかなり古くからある風邪薬で、今年75周年を迎えます。「風邪の11症状に効く」という効能に加え、糖衣錠であることも大きな特長の一つです。小粒で甘い味でコーティングが施されているため子どもでも飲みやすいという点でも、多くのお客さまからご愛顧をいただいております。

(※)新ルルAゴールドDXα
(指定第2類医薬品) 
【効能効果】かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和
※この医薬品は「使用上の注意」をよく読んでお使いください。アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談ください。
 使用上の注意 

―“ルル”のマーケティング・プロモーション戦略について教えてください。
 風邪薬や医薬品は、成分の含有量の上限が決まっており、表現にも制限があるため、USP(他社にはない自社独自の強みや売り文句)を打ち出すのが難しいカテゴリーです。しかし、“ルル”には70年以上の歴史があるため、「幼少期に家族、ご両親に飲ませてもらった思い出」や、「オレンジ色のパッケージに感じる温かみ」を、“ルル”のイメージとして持ってくださっている方が多くいらっしゃいます。そこで、「家族の温かみ」や、「薬を家に備えておくことは、自分以外の家族を想うこと」をブランドのアイデンティティに昇華していけるのではないか、という仮説に着目し、様々な取り組みを日々行っています。

―今回の施策も“くすり箱プロジェクト”の一環だと伺いましたが、“くすり箱プロジェクト”について、詳しく教えてください。
 “くすり箱プロジェクト”は、日本の皆さまの健康を真っ先に考えるブランドでありたいという想いからスタートしたプロジェクトです。「薬について、健康について家族で考える機会を提供する。」をミッションの一つとして、親子でくすり箱を作るワークショップを行うほか、小学校向けに授業の教材も提供させていただいています。ワークショップは特に大人気で、ららぽーとやイオンモール、レイクタウンなど大型のショッピングモールを中心に開催し、現時点で合計2,000組以上の親子にご体験いただいています。くすり箱を作った後には、「薬のなぜなに大研究」のようなワークシート、例えば、「瓶の中にあるくしゃくしゃなビニールのような詰め物って何のためにあるの?」とか、「何でオレンジジュースと一緒に飲んだらいけないの?」などをクイズ形式で考えるコンテンツも実施してきました。家に帰った後、作ったくすり箱に家の薬を入れ替えて、「この薬ないね。」と考えるきっかけになっていたらいいなと思っています。

―今回の施策についても教えてください。
 くすり箱プロジェクトは、現在4つの箱に分かれています。「ストーリー」「ワークショップ」「スクール」、そして今回の取り組みのような「ソーシャル」です。ソーシャルのテーマについては、社会課題に対して「“ルル”が向き合えるものは何か。」という切り口で考えています。健康・薬のカテゴリーから離れすぎない範囲で色々考えていた中の一つとして、定期的にメッセージとして伝えられるという点、風邪の時期かつ大掃除の時期という文脈に着目すれば帰省のタイミングにマッチして発表できるという点があったので、「くすり箱の見直し」を取り組みとして挙げ、「薬の使用期限を見直そう」というメッセージを伝えていく施策となりました。

―広告展開の場所として、どうして新幹線の待合室を選んだのでしょうか。
 帰省のタイミングで「薬の使用期限を見直そう」というメッセージを伝えるにあたって、自分が新幹線を利用する場面を考えた時に、待合室にいる時間が長いことに気づいたことがきっかけでした。帰省するタイミング、導線の中で滞留・滞在する場所、かつ手持ち無沙汰になる場所であることから、待合室はちょうどいいのではないかと思い、濵邉さんに相談しました。

―クリエイティブについて、工夫された部分はございますか。
 はい。一つは、「オレンジ色の風邪薬といえば“ルル”」という印象を強化していきたかったので、空間をオレンジ一色に染めてやろう!という気持ちが強くありました。屋外広告は徹底的にやりきらないと目につかないと思っていたので、待合室の中に入った人達に「なんだ?」と思わせるようなサイズ感であるとか、待合室に入った瞬間はもちろん、どこに座ったとしても目につくことを意識しました。もう一つは、ガラスと柱ポスターの奥行きをつかったビジュアルです。入口の手前のガラスのところに透明なフィルムで女の子のイラストがあって、後ろの柱にはオレンジのポスターがあります。ガラスと柱ポスターの奥行きを上手く活用し、お父さんお母さんがバイバイとしながら女の子が帰っていくというシーンを作り出しました。OOHならではの奥行きを使ったクリエイティブはこだわりです。

―奥行きを使ったアイデアをデータでもらった時に驚いたのですが、このアイデアはどうやって思いついたのですか。
 私が奥行きを利用することは出来ないか、と相談したことがきっかけですね。手前のガラス部分を活用する場合は透明なフィルムであることが条件、という情報をもらった際に、「つまり奥も見えることになる、それなら手前のガラス部分と奥の柱巻きは連動感を持たせたクリエイティブにしたい、うまく使えないかな?」と考えていました。実際に、現調の時にも色々確認しながら相談しました。結果的に、待合室内に目が行くきっかけになったというか、奥行きを使うことによって通りすがりの人の気を引くこともできて、上手くできたなと思っています。

―交通広告だとこういうアイデアができる、クリエイティブの幅があるなと。我々も勉強になりました。
 そうですね。OOHは他のメディアと比べても特に、クリエイティブアイデアやクリエイターの腕の見せ所が光るメディアだなと思っています。

―他にも交通広告に感じている価値はありますか。
 時間と場所とメッセージの親和性のようなものがマージしやすいところ、その自由度ではテレビやデジタルでやるよりも圧倒的だと思っています。テレビやデジタルが自宅などでのデバイスを通じてしかできない、エリアをピンポイントで指定できないのに対して、今回の取り組みで言うと、「東京駅で、年末年始で、これから実家に帰ろうという人がいっぱいいるからここでやっているのね。」というところまで、生活者のなかの理解がグッと進むというのが、場所を指定できる屋外広告のいいところだなと思っています。「何故ここでやるのか。」という部分に、ブランドの思いや伝えたいことを載せられるのは魅力です。さらにそれをPRやニュースレターで発信することによって、意図がしっかり伝わる。「何故、ここでこういうプロモーションをやっているのか。」ということを一番伝えやすいメディアだと思います。

―医薬品というジャンルにおける交通広告の役割についてのお考えを教えてください。
 医薬品だと、外だからこそ感じるポイントがいくつかあると思っています。例えば、今回は帰省とか使用期限というところにフォーカスしていますが、風邪薬で順当にいくなら、秋冬の乾燥や気温の変化、周囲の人々の咳き込みなどを、メッセージと紐づけることができると思っています。状況とメッセージを、タイミングを合わせて伝えられるのが一番大きなメリットだと思います。
車内のサイネージ広告だと、毎週、毎日通勤の時に見かけることで、純粋想起に効きそうですよね。医薬品のプロモーションにおける課題の一つとして、症状が無い時には関心を持ちにくいという点がある、と思っています。ですから、症状が無い、健康な状態にあってもブランド名や製品特長を、どうすれば心の片隅、脳の片隅に置いておいてもらえるか、というところが大きなポイントだと感じています。この観点においては、同じ人に同じタイミングで同じ回数、複数回あてていけるということは、トレインチャンネルの大きなメリットだと思っています。一方で、今回のようなインパクト重視の大型企画も記憶に残りやすく、様々な活用方法もあるため、一概に分類するのは難しいですね(笑)。

有意義なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

◇まとめ◇
この事例で編集部が注目したポイントをまとめました。

Why? OOH
OOHメディアに期待したこと

  • 時間や場所とメッセージとを立体的に組み合わせ活用できるので、生活者のブランド理解をぐっと進めることができる。

  • トレインチャンネルを通年で放映することに負けないくらい、ブランドのプレゼンスを高めることができる。

  • 着眼点と工夫しだいで、クリエイティブアイデアを実現できるチャンスがある。

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