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2023.07.05

ブランディングにお悩みの方、必見。 「語り合ったらOOHのスゴさが見えてきた!」 JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

JAAA(一般社団法人日本広告業協会)主催、第52回懸賞論文・新人部門において、「プロモーショナルアートとしてのOOHの可能性」という作品を出品。ファイナリストとなられた浅野楓芽氏(株式会社メトロアドエージェンシー)をお迎えし、ジェイアール東日本企画(jeki)若手社員を交えOOH広告の未来について座談会を行いました。

浅野さまの作品はこちら。ぜひご一読ください。

座談会参加者
 メトロアドエージェンシー 浅野楓芽氏
 日本広告業協会 角田佳那子氏
 ジェイアール東日本企画 石塚、林、Universal OOHサイト編集部

ジェイアール東日本企画 Universal OOHサイト編集部(以下 編集部):浅野さん、このたびはファイナリスト、おめでとうございます。さっそくですが、論文応募のテーマとして、OOHをお選びになった理由は?

メトロアドエージェンシー 浅野氏(以下 メトロアド 浅野氏):広告の「アイデアで課題を解決する」という部分がとても好きで、中でも海外のOOH広告にある、受け手によって解釈が変わるような表現が大好きでした。OOHは場所と表現だけで勝負するようなところがあって、せっかく論文を書くならOOHについて書こう、と思いました。

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

メトロアド 浅野氏

ジェイアール東日本企画 石塚(以下 jeki 石塚):海外のOOH広告を見ると、日本でももっとできることがあるような気がします。

ジェイアール東日本企画 林(以下 jeki 林):たしかに海外と比べると、日本はどうしても規制が多いかもしれませんね。ただ、規制や制約があるからこそ、アイデアが生まれチャレンジングな面白い広告が生まれる、という考え方もあると思います。

jeki 石塚:某コミックの広告で、規制上、銃を出せないから、銃をすべてサンマに持ち換えた表現をして、バズッた例とかありましたよね(笑)。

日本広告業協会 角田氏(以下 JAAA 角田氏):JAAAで会員社の新入社員研修を行ったのですが、若い人たちの意識は、広告に対してかなりシビア、というか、広告って嫌われ者?くらいに思っている人がほとんど。でも、OOHに対しては少し違っていて、面白さや話題を提供してくれるもの、と、どちらかといえば好意的に受け止めているのが印象的でした。

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

JAAA 角田氏

炎上につながらない対話をつくる。

編集部:まさにそのあたり、浅野さんの論文に通じるものがありますね。「社会貢献の要素を孕んだ自明の課題解決を目指す“意味のある企画”をもって、炎上ではなく“議論”を生み出し、それを一般化させていくことで“プロモーショナルアート”としての OOH が実現できる」と結論付けていらっしゃいましたが。

jeki 石塚:炎上について言うと、ある表現で直接ネガな思いをする当事者が炎上しているのではなくて、直接関係のない第三者が炎上を煽っているようなことが最近多いと感じています。このあたりをうまくクリアしていけると、もっとOOHメディアは活性化するのかな、と思います。

メトロアド 浅野氏:炎上のリスクがあるのは、OOHが公共性を持っているからなのですよね。だからバズらせたいと考えるなら広告主は、みんなが感じている社会課題を解決するためのコミュニケーションを広告に落とし込んでいくというカタチをとれば、誰の不満にもつながらない。時代的にも、いま話題になり企業のブランドを高めている広告は、社会課題と向き合っているものがほとんどではないですか。

編集部:「ウチの会社は、こんないいことやっています」と自慢するというより「ウチの会社は、この課題についてこう考えます」と言って、みんなが「いいこと言ってくれた!自分もそう思っていた」と思う。そんな構造ですよね。

メトロアド 浅野氏:素晴らしいことを言っていても、たとえばアートで言うとピカソのように、受け取る側のほとんどの人が「よくわからない」というものよりも、「最後の晩餐」のように、見れば誰でもその状況がわかるような…、「あぁ、この社会課題、自分にもわかる」という話だと、表現がたとえ抽象的であっても、より刺激的なものであっても理解してもらえるから、議論を生んだあと最終的には共感に集束していく。だから販促にも、ブランディングにもつなげていくことができ得る。こんな風に考えています。

jeki 林:いまの世の中、映画を倍速で見る、音楽もサビをアタマに持ってくるなど、とにかくみんな急いでいるから、余白のある表現を出して、受ける側と対話するようなことは、とても難しくなっていると感じています。だからこそ、そこに挑んでいくということはとても意義のあることだし、それができるのがOOHメディアだから、チャレンジした方がいいと考えています。

jeki 石塚:たしかにOOHなら、友達と話すとき「あの広告見た?」というのが成立しますね。

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

jeki 林

OOHメディアの課題を越えていこう。

編集部:マス広告ですよね。OOHは。マス広告でありながら、ちょっと志の高いコミュニケーションを小さなサイズ感からでも実行できる。そこはOOHの強みですよね。さて、こうして話していると、生活者との対話を生み出す広告、OOHでたくさんできそうな気がするのですが、実際にやろうとすると、なかなか実現しにくい。障壁や課題はどこにあると思いますか。

jeki 林:日本のOOHの場合、もちろん表現の考査や規制などもあるけど、障壁の本質ではないような気がします。

jeki 石塚:広告主と私たち広告会社の間に「効果の可視化」という課題があり、そこを乗り越えて、生活者との対話を生み出す広告に納得して踏み出してもらうには、広告会社側の提案力…、これも課題かなと思いますね。

メトロアド 浅野氏:OOHの位置付けという面もありますよね。一般的には、テレビがあってWEBがあって、そこでの表現のリサイズをOOHで展開するケースがほとんどです。OOHそのものの価値をあげていくことができれば、OOHメインの企画提案も受け入れていただけるようになるのではないでしょうか。

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

編集部:OOHだからこそできること、の具体的なイメージが、まだまだ共有できていないのかもしれないですね。

メトロアド 浅野氏:私が論文で紹介させていただいたビール会社のシャッターアドの例を考えると、まず社会課題ありきですよね。コロナ禍で街のBarが軒並み休業を強いられている。恐らく提案した広告会社は、その課題をクライアントの担当者に伝え、解決策としてシャッターアドを提案したのではないか、と。最初からOOHありきではなく。それで担当者は納得し、実際に広告が成立し話題にもなり、そのビール会社のブランド価値もあがった。そういう事例を増やしていくことなのではないでしょうか。

編集部:ちょっと前、鉄道の広告枠で「ハンコ押すためだけに、会社行くのはヤダ」みたいな広告がありましたが、あれも、コロナ禍での社会課題をOOHで訴えて販促につなげた事例になりますよね。

jeki 林:課題発掘とOOHでの解決アイデア、それで事例を増やしていくこと。さらにもうひとつ大切なのは、素晴らしい事例を発信していくことではないですか。広告主はもちろんですが、媒体としてシャッターを提供するお店側にも、優れたOOH広告の魅力が伝わっていれば、受け入れられやすいでしょうし。

編集部:つまり、それは Universal OOHサイトとJAAAさんががんばれ、と?(笑)。

使い方しだいで効果100倍。

JAAA 角田:やはり先ほど話題に出た指標の話は、各社さん取り組んでいらっしゃいますが、なかなか悩ましいところですよね。でも、その一方で、OOHは決められている枠以上の可能性がある、というか、店舗のシャッターも枠になり得る。アイデア×枠が無限大。さらにダイナミックDOOHのようにデジタルとのかけ合わせもできる。話せば話すほどすごいメディアだと思いました。

編集部:そこですよ。OOHって、ホントはできる子、なのです。ここまでいろいろ出てきましたが、あらためて皆さん、OOHの魅力ってどのようなところだと思いますか。

jeki 石塚:
いま好きなアーティストが渋谷の屋外で広告を出しているのですが。それをファンの一人が写真に撮りに行ってストーリーにあげて、そうしたらさらにアーティストがそれをリポストしていて…、こういう交流みたいなことって、なかなか他のメディアではできないことなので、面白いメディアだな、って思います。

JAAA懸賞論文×Universal OOHサイト 特別座談会

jeki 石塚

編集部:撮りに行く、っていう体験が、またコミュニケーションを深めているのかもしれないですね。逆に自分が感じるのは、いまターゲティングがどんどん先鋭化されて、「あなたにはこれ」という感じで広告が届けられる。だけどターゲティングは完全ではない部分もある。だから、当たらずとも遠くないけどね、みたいな広告に囲まれている感覚を常に感じています。そんな中で、OOHで思いがけない出会いがあると、これだ!と思ったりします。

メトロアド 浅野氏:それ、すごくあると思います。広告には「選択肢を与える」という役割があるはずなので、偶然出くわすという機能はとても大切だと思います。あと、OOHの特長は他に2つあると思うのですが。1つは受け手がフラットな状態で広告に触れるということ。他のメディアはほとんどがコンテンツと結びついているけれど、交通広告にせよ屋外広告にせよ、日常の中で見るものなので、そこに情緒的なポジもネガもないと思うのです。もう1つは、リアルな空間というところだと思います。テレビやWEBで美味しいお店を紹介されても距離感があるというか。OOHの場合、”その場”を広告にすることもできるので、自分事にしやすいし、刺さり方の深さが違うと思っています。

OOHの街をつくろう。

jeki 林:いま出てきたようなOOHをどう指標化することができるか、たとえば受け手の心の動きの深さを何らかの形で数値化することは、とても大事なこと、と思います。

JAAA 角田氏:右脳でも左脳でも納得できるような指標、とても重要ですよね。

編集部:納得できるような指標、そして、前段でお話に出ていたような社会の温度をあげていくようなアイデア、両面でがんばりたいですね。だいぶ議論も深まってきましたが、最後に、今後OOHが、どうなっていくといいと思いますか。

jeki 林:OOHってカッコいい、ってなりたいです。海外ではOOHってカッコいい、というポジションにある。その共通認識をつくっていきたいです。

メトロアド 浅野氏:広告の街をつくりたいです。駅の一角でもいいから、そこでは立体物を置いてもいいし、しぶきを飛ばしてもいい。エンターテインメントスペースとしての広告の街。そんなスペースをつくれたらOOHのとらえ方が大きく変わってくると思っています。ちょっと似た事例で静岡市がやっている「プラモデル化計画」*というのがあるのですが、楽しめるものを見せることが、OOHがカッコいいということにつながると思うのです。

編集部:大きいですね。やってみたいですね。JRさんとメトロさんと、どっちの駅で先に実現するか、今日から「よーい、どん!」で、お互いがんばっていきましょう(笑)。今日はありがとうございました。

*静岡市 「プラモデル化計画」 https://www.city.shizuoka.lg.jp/805_000001_00143.html

座談会後記

今回の座談会でわかったことは、広告主の方々の課題を深く理解し、一緒にチャレンジしていくことの大切さ。そして課題を解決するフィールドとして、ブランディングであれ、販促であれ、OOHには大きなポテンシャルがある、そんなことが強く印象に残りました。
ちなみにOOHの拡散力については、こちらの記事もありますのでぜひご覧ください。→ 「OOH(Out of Home)のシェアラビリティについて ~OOHメディアとSNS拡散の関係性~」

このコラムを読んでいただいた方、いま進めているマーケティング・コミュニケーションにちょっと手詰まり感を感じられている方はもちろんですが、読んでいて気になることわからないことなどあった方も、どうぞお気軽に当サイトのお問い合わせからアクセスしてみてください。
一緒に新しいフェイズに進んでいければと考えております。
ご精読ありがとうございました。

AUTHOR

ライター Universal OOH 編集部

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