2023.12.14
OOHの広告費は、コロナの感染拡大が始まって、緊急事態宣言が発出されたり、人流抑制が叫ばれたりしたことをきっかけにガクッと落ちました。その後、人流も戻ってきて、今年5月には5類に移行したこともあり、OOHの売上は復調傾向です。このグラフですと2023年の売上がまだ反映されていませんが、もう少し戻ってきています。
出典:電通「日本の広告費」
OOHの中でも売り上げの伸びが良いのが屋外広告になります。屋外ビジョンの面が増えたり、タクシーサイネージの人気が高まったりしていることも一因です。
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交通広告に関しては、例えばコロナ禍で空き枠が目立ったJR東日本のツインステッカーが再び満枠に戻ったり、インパクト系の駅大型メディアに人気が集まったりしています。
2023年のOOH業界の傾向をUniviesal OOH編集部独自の視点でいくつかまとめてみました。
新宿ウォール456や渋谷のビッグサイネージプレミアムなど、人気の駅メディアはほぼ満枠稼働で、枠の確保さえ困難といった状態が続いています。
新宿ウォール456は、2021年に新設された45.6mの音声付きサイネージですが、4か月前1日締切のキャンペーン申込みのタイミングで申し込みをしても、他社とバッティングしてしまい取れない、という状況です。来年度からは、稼働率を加味し、100万円値上げとなり、1600万円になります。
同じく、大人気の渋谷ビッグサイネージプレミアムも、人流データや稼働率を加味し、例えばS期(12・3月)においては、100万円値上げとなり、700万円になります。
次のトレンドとして挙げられるのが、「何か変わったことをしたい」ニーズの高まりです。広告主からの相談としても、特殊展開の相談が非常に多くなっています。
普通に広告を出稿するだけでは埋もれてしまう、ということもあると思いますが、やはり広告を出すだけではなく、リリースを出したり、SNSなどでの拡散を狙ったりといった、話題性創出を期待してOOH出稿をすることが増えています。
具体的には、特殊中づりや立体柱巻き、立体広告、そしてサンプルを貼り付けたピールオフ展開などです。昨今はサンプルではなく、等身大ポスターをはがして持ち帰れるというような、話題になることを狙った展開も目立ちます。
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OOHは効果が数値として見えづらいといった声を頂戴することがよくあります。確かにWEB広告などと比べ、効果指標が整備されていないといった問題は長年指摘されていました。ただ、一方で、リーチ獲得のためだけではなく、OOHだからこそできるインパクトのある展開、空間ジャック、場所を活かした広告へのニーズが高まっていると感じます。
神田駅の駅名標と改札口名標にアース製薬を追記したというニュースもありました。もともと私鉄は駅名標を広告にするという商品があるるのですが、JR東日本ではそのような商品設定はなく、今回初となります。発車メロディもモンダミンのCMソングに変更しています。
ボラギノールブランド等を展開する天藤製薬では、「ボラギノールスムース便秘薬」による便質改善後のスッキリ感を体現するトレインジャック「広告スッキリ車両」を東京メトロ銀座線・丸の内線に運行。商品のコンセプトである単に出すのではなく、「便質を改善してラクに出す」ことで、おなかも気持ちもスッキリできることを表現するために、通常の車内広告を極力排除したクリエイティブで展開しました。
2023年は、国際展示場でのコミックマーケット開催に合わせ、ゲーム会社が国際展示場駅の改札周りをジャックしたり、幕張メッセでのITイベント開催に合わせ、海浜幕張駅の改札周りをジャックしたりといったような展開が目立ちました。イベント会場周りというのはまさにターゲット狙い撃ちには最適な場所であるといえます。
ゾーホージャパン 海浜幕張駅改札ジャック
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こちらは、前出の便秘薬「ボラギノール」ですが、商材を想起するベストスポットである駅のトイレ個室内に広告掲出した事例となります。
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車両メディアを中心に、フリースポットを設定している媒体社が増えてきています。フリースポットは、ある一定期間に媒体社任意で枠を割り付ける分、500万円支払ったら定価ベースで1000万円以上分の露出が見込めますというような商品です。ポスターを多めに刷っておく必要はありますが、定価の2倍3倍あるいは5倍以上の露出が見込めるのでローンチ時などの瞬間風速的な展開に最適ですし、時期を限定せず、いつでもどこでもたくさん出したいというような場合にも、長期でフリースポットを実施いただいている例が多くあります。
ピールオフ広告とは、駅のポスターなどに貼ってある化粧品やシャンプーのサンプルを剥がして持ち帰ってもらうという手法です。通行の妨げになってはいけないので、どこでもできるというわけではないのですが、サンプリングの手法の一つとして、有用です。
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オフィス機器・ノートPCなどのタッチ&トライイベントを品川・秋葉原のイベントスペースで行うケースが増えています。
その商品への関心がまだそれほど高くないターゲットに、自然な形で商品を手に取ってもらう、触れてもらうということができるのは、駅ならではの魅力ではないでしょうか。
人が多く集まる街中にある、POP UP ストアでのイベントも、新規顧客への接点の場として最適です。
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さて、2023年のトレンド、いかがでしたでしょうか。2024年も引き続き、同様の傾向が見られるのではないかと思いますが、OOH業界としては新たな動きにも注目です。
新宿南口に新宿BBBという新たな媒体ができます。こちらは、3/18から掲出開始となります。
また、上野駅の広小路口にも3D広告が可能なビジョンが設置されます。こちらは、1/29から放映開始となります。上野は、上野動物園や博物館・美術館、そして、アメ横など観光スポットが目白押し。インバウンド向けの展開にも一役買いそうです。
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現在はトレインチャンネル・JADステーションネットワークが対象で、フレキシブル型とフリースポット型があります。フレキシブル型は、例えば金曜の夜帯だけ放映したいという場合に応えることができます。フリースポット型は、時間帯や曜日の指定ができませんが、定価よりも多くの出稿量が望めます。放映期間にこだわりがない場合には、お得といえます。
いずれも運用レポートが出てきますので、効果を可視化したいという広告主にはピッタリです。
OOHに関する広告主側のニーズ、また、媒体社側の商品設計は、年々変化します。
2024年は、どんな面白い展開が見られるのか、楽しみです。
Universal OOHでは、今後も面白い事例をたくさん取り上げていきたいと思います。
話題になる広告をしてみたい、こんなターゲットを狙ってみたい、などの相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。