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2022.03.22

屋外・交通広告があるじゃないか ~クリエイティブの視点で、OOHの魅力とノウハウを大解剖! 第二回

クリエイティブ視点のOOH

30年間、OOH広告制作と向き合って、見えてきたことがあります。
 
jekiクリエイティブには、OOH広告制作の知見が蓄積されています。なぜなら、jekiが広告会社であると同時に、JR東日本の交通媒体を扱う媒体社であるから。そしてメインクライアントのJR東日本が、交通広告を多用する会社であるから。

このコラムでは、「屋外・交通広告を使ってみたい」と考えている方々、あるいは、「他のメディアを使っているけど、もっとおもしろいメディアはないか」と探している方々へ、私たちが30年間の広告制作業務を通じて見出してきたOOHならではの魅力、そして使い方のコツをお知らせしていきます。

もちろん、このコラムに書かれていることが全てではありません。このコラムをヒントに、これまでにない新しいOOHの使い方や、見る人をあっと驚かせる表現が生まれ、駅や車内、街が、もっともっとにぎやかになれば幸いです。

前回はこちら

コラム「屋外・交通広告があるじゃないか」は、全四回のシリーズです。

◎第一回 
・OOH「ならでは」の魅力 その1 「ちょいとご近所のみなさん、聞いてくださいよ力」
・OOH「ならでは」の魅力 その2 「あさっての方向から弾が飛んでくる力」
◎第二回
・OOH「ならでは」の魅力 その3 「語り合う言霊の力」
・OOH「ならでは」の魅力 その4 「犬が西向きゃ、尾は東の力」
◎第三回
・OOH「使い方のコツ」 その1
◎第四回
・OOH「使い方のコツ」 その2

定量的な分析は、いろいろなところで書かれているので、クリエイティブの現場の視点で、ご紹介していきます。

OOH「ならでは」の魅力 その3
「語り合う言霊の力」

 
さて、前編では、だいぶ文章が長くなってしまったので、残る2つの魅力は簡潔にご説明いたします。OOH「ならでは」の魅力 その3は「語り合う言霊の力」です。

ご存じの通り、ここ十年くらい、「AIDMAではなくAISASだ」と言われ、SNSでの拡散をメインに、広告計画において「話題になる力」がとても重要な要素となっています。SNSで拡散されることで、媒体費に換算して何千万円分の効果が得られた、という「クチコミ波及」による経済的効果が、その主な根拠とされています。私たち広告制作サイドでも「話題性を喚起する仕掛け・表現」の開発に日夜、努力しているところであります。ですが、話題性にはもっとプリミティブな側面があるのではないか、というのがこの章の主題になります。

たとえば、鎌倉幕府はなぜ崩壊したのか。教科書を読んでノートに整理すれば、ある程度は頭に入ります。しかし、少しすると忘れてしまう、という生徒さんに、どこかの先生なり先輩なりが「お母さんにでも妹さんにでも、わかったことを自分の言葉で説明してみたら?」というアドバイスしているのを目にしたことはないでしょうか。目で見て知ったことを「自分の言葉で語る」と、よりしっかりと頭に入る。これこそOOH「ならでは」の魅力 その3「語り合う言霊の力」です。

OOH「ならでは」の魅力その3「語り合う言霊の力」

OOHは「体験付きの認知」=語り合う言霊の力?

OOHは開かれたメディアです。得意先へ同僚と移動するとき、彼女と映画を見た帰り道。駅で、列車内で、屋外の看板で。OOHほど、「誰かと一緒に見る」確率の高いメディアは、一部のお茶の間TV番組を除くと、令和のいま、他にあまりないのではないでしょうか。

得意先へ同僚と移動するとき、彼女と映画を見た帰り道、取り立てて話題もないので、ふと目に入ったOOH広告の内容について話題にしてみる。「この発泡酒、なかなかイケるよね。」とか、「このクルマ、燃費がいいらしいですよ。」とか。そんな経験ありますよね。広告の内容について、自分の言葉で語る、あるいは相手が自分の言葉で語るのを聞く、ということは、教科書を読んで知るだけではなく、お母さんや妹さんに説明するのに近い「体験付きの認知」につながると言えるのではないでしょうか。これをもって「語り合う言霊の力」と私たちは捉えています。

広告表現の現場では、それこそシノギを削る思いで「話題になる力」の競争が繰り広げられています。しかしOOH広告には、表現の開発以前に、広告を見てもらう場やシーンそのものが、「話題になる力」を秘めている、ということは、考えようによってはものすごい潜在能力と言えるのではないでしょうか。

誰かと一緒に見ることで、SNSで広がるチャンスが。

また、そもそもSNSでの拡散というのは、SNSという場での会話が多重に拡がっていくという現象です。それは、いま知ったことを誰かに話したい、伝えてみたいという欲望に支えられていると考えられます。

一方で、話したら喜ばれるかどうか、伝えたら面白がってくれるかどうか、も重要で、誰しも無意識のうちに、「伝わった後」について多かれ少なかれ計算しているものではないでしょうか。OOH広告を見て「このクルマ、燃費がいいらしいですよ」と言ったとき、相手との会話が弾んだら、その盛り上がりが、SNSで発信してみようという欲望を喚起することもあるかもしれません。なので、「語り合う言霊の力」はSNS拡散と相いれないものではなく、むしろ同じベクトル上にあるとも言えるでしょう。

誰かと一緒に見てもらえるチャンスが多いこと、その場の暇つぶしであれ話題にしてもらえるチャンスに恵まれていること。これすなわち、OOH広告が持っている目立たないけれど重要な実力、と私たちは考えています。

OOH「ならでは」の魅力 その4
「犬が西向きゃ、尾は東の力」

 
コラム「屋外・交通広告があるじゃないか~クリエイティブの視点で、OOHの魅力とノウハウを大解剖!」の第二回。広告制作の立場から考えるOOHならではの魅力を紹介してきましたが、いよいよ最後、OOH「ならでは」の魅力 その4は、ちょっと性質が変わります。題して「犬が西向きゃ、尾は東の力」です。

さて、「犬が西向きゃ、尾は東の力」とはどういうことかというと、ズバリ、広告を見る人と見られる広告の位置関係をコントロールできるのは、OOHだけの特権、ということです。以前、東日本大震災での津波の高さを、銀座のビルの壁面で表現した広告がありました。地上に立っている人に対して、見上げるような津波の高さを表現したもので、非常にインパクトがあり、多くのメディアでも紹介された名作です。このような生活者と広告とのリアルな位置関係を活用できるのは、OOH広告にしかできない手法ではないでしょうか。

「場」を味方につけるアイデア。

この視点でOOHを見ていくといろいろなアイデアが浮かんできます。下を向いて歩いている人にだけ目に入る駅のフロア広告、つり革につかまって電車に揺られている人の目の高さにあるつり革広告、新幹線に乗って高速移動しているときに目に入る野立て広告、交通渋滞の名所で見上げたビルの上にあるビルボードなどなど。先ほど紹介した津波の高さを表現した広告は、ジャンルで言うと実証広告のカテゴリーに入るかと思いますが、実証広告以外にも、シチュエーションを想定して、「ズバリ、いまのあなたの気持ち」に差し込んでいく共感型の広告や、笑いや話題を誘う広告などなど。表現のアイデアだけで頑張らなければならない戦場に、もうひとつ、位置関係のアイデアという武器を持ち込むことができるということは、とてもコミュニケーションの選択肢を拡げてくれるものです。

「リアル」を味方につけるアイデア。

さらに、「犬が西向きゃ、尾は東の力」とは、ちょっと異なりますが、近しい特長としてご紹介したいのが、「リアル」という特性です。以前、テレビの料理番組の番宣で、ちょうどキッチンの壁のように、ペーパークラフトのお玉やターナーをぶら下げた中づり広告がありました。さらにもっと以前には、中づり枠に商品のジーンズをぶら下げたもの、扉横のステッカー広告に、半立体のマスクを貼って、鼻が苦しくないさまを表現したものもありました。このように「リアル」あるいは「限りなくリアルに近い」体験を提供できるのもOOH広告の自由度と言えるでしょう。

「犬が西向きゃ、尾は東の力」に「リアル」体験の力。OOH「ならでは」の魅力 その1~3とは、ちょっと次元が異なりますが、3Dの現実世界に存在するがゆえに得られる表現の自由度。このこともぜひアタマに置いておいていただければと思います。

OOH「ならでは」の魅力 
まとめにならないまとめ

さて、最後は「まとめにならないまとめ」です。実はこのコラムを書くにあたって、あらためてOOHってなんだろうと考える中で気づいたことがあります。それは、OOHこそ広告の原点なんじゃないか、ということです。

たとえば、道端に片方の手袋が落ちていたとき、あなたはどうしますか。持ち主の目につきやすいよう、付近のフェンスにぶら下げておいたことのある人、あるいはフェンスにぶら下げられた手袋を見たことのある人、たくさんいるのではないでしょうか。中には「落とし物です」と丁寧な貼り紙が添えられていることもあります。貼り紙でなくて、街中に掲げられた落書きであれば、平家物語にも出てきます。屋外に貼り紙をする、人々が往来する、人の目につくところに掲げる、というのは、多くの人になにかを伝えるための方法として、もっともプリミティブでもっとも基本的な方法。つまり広告の原点。伝える側にとっても受け取る側にとっても、とてもシンプルで、人間の行動や認知、生理に対しとても素直な王道だから、1000年もの間、廃れることなく続いているのではないでしょうか。

今回のコラムでは、さまざまなメディアの広告制作に携わる中で、私たちが経験的に感じとってきたOOH「ならでは」の魅力を4つほどご紹介しました。しかし、OOHの魅力は他にもあると思います。

OOHが広告の原点であり、広告の王道であるなら、これからもどんどんユニークな表現や使い方が一生まれるポテンシャルがあるはずです。いままでのOOHにはなかった、誰も見たことのない新しいアイデアを開発し、OOHの新しい魅力や使い方を生み出すのはあなたかもしれません。「こんなことできないかな。」「こんなことを考えているんだけど、どんな媒体が有利だろう。」などなど。気になることがあれば、ぜひ当サイトのお問い合わせからお気軽にアクセスしてみてください。

残る「屋外・交通広告があるじゃないか」第三回、第四回では、もう少し実践的なノウハウ・定石をご紹介します。次回をお楽しみに。

気になる続きは以下から!OOHの魅力、徹底的に解説します。
屋外・交通広告があるじゃないか 第一回へのリンク
屋外・交通広告があるじゃないか 第三回へのリンク
屋外・交通広告があるじゃないか 第四回へのリンク

ご精読ありがとうございました。

AUTHOR

ライター Universal OOH 編集部

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