2022.05.27
Universal OOH編集部です。
このコラムでは、「OOH」とは何か?といった基本的な内容から、メディアの特徴やメリット・デメリット、OOHメディアの種類についての解説しております。また、広告展開における活用事例を紹介や将来の展望についても紹介します。
OOHとは、「Out Of Home」の略で、交通広告や屋外広告などの家庭以外の場所で生活者に接触する広告メディアを、総じてOOHメディアと呼びます。一般的に、交通広告は、電車や駅、バスなどの公共交通機関に設置されるメディアを意味し、屋外広告は、街中のビルや商業施設などの店舗内外、タクシーなどに設置されたメディアを指すことが多いです。メディアの形態としても、ポスターや看板、デジタルサイネージ(ビジョン)やイベントスペースなど多様な種類が存在します。
日本国内では近年デジタル広告が人気で、TVなどのマスメディアを抜いて、市場規模的に最もメジャーな広告メディアとなっておりますが、OOHメディアも都心部を中心に底堅い需要がある媒体です。
OOHメディアは生活動線の中にあり、ターゲットの日常に密着した直接訴求が可能です。また、デジタル化によって広告表現や広告効果分析の側面でも、さらなる進化の可能性を有しております。具体的なメリット(特徴)である「4R+S」についてご紹介します。
また、階段の蹴上がり広告や、つり革広告、改札口ステッカーなど、ちょっと特殊な広告スペースを、「そのメディアならでは」のアイデア一発で「おもしろい!」につなげることも考えられるでしょう。
OOHメディアの強みとしてまず挙げられるのが、都市生活者へのリーチ力です。都市部は鉄道利用率が高く、首都圏では約60%、関西圏では約52%の生活者が、週に1回以上鉄道を利用しており、生活と鉄道が密接に関わっていることがわかります。
特に、日中は仕事などでテレビを観る機会が限られるビジネスパーソン層や、接触するメディアがネットへと著しくシフトしている若者世代など、外出機会の多いアクティブな生活者に対してはマス媒体に匹敵するメディアパワーを誇ります。
2つ目の特性として、フリークエンシー(接触頻度)の高さが挙げられます。OOHの中でも特に交通広告は、通勤・通学、レジャーや買い物などの外出など、生活者の移動プロセスに組み込まれたメディアです。定期券利用者も多く、習慣的に接触しやすいため、高い反復訴求効果が期待できます。
生活者が自宅でTVCMを見ていて、「この商品が欲しい」と思っても、わざわざ売り場へ買いに出かけるのは面倒ですし、翌日外出する際には忘れてしまっているかもしれません。
一方で、移動シーンでの広告接触は、商品のロゴやネーミングが頭に刷り込まれ、帰宅途中や外出先で立ち寄った店舗で商品を再生・再認させる効果を期待できます。
OOHメディアは、購買地点に近い場所でコミュニケーションを図ることができ、高いリーセンシー効果(購入直前に接触した広告が、購買行動やブランド・商品選択に影響を与える効果)を発揮するメディアといえるので、店舗で購買する日用品との相性が良いメディアです。
広告を見た人が「この広告は面白い」と思えば、手元のスマートフォンで撮影し、SNSで共有することがあります。それが拡散されていくことで二次的なリーチ効果も期待できます。
OOHメディアは他メディアと比べて大型の広告面やユニークな形状で広告デザインをすることが可能で、インパクトのある「バズる」広告展開を行いやすいメディアでもあります。
車両内の主なメディアとしては、車両中央部に掲出される中づりポスターや、側面に設置されるまど上ポスター・ドア横ポスター、まどガラスやドアに貼られているステッカーなどの紙メディアと、車両ドア上などに設置されたデジタルサイネージなどのデジタルメディアが存在します。
広告キャンペーンの期間や予算、広告の内容・デザインによってこれらを使い分けますが、交通広告メディアに共通して、前述したOOHの特徴のなかでも特に「Reach 広く届く」「Repeat 繰り返し届く」「Reality 真に迫って届く」に強みがあります。
駅の主なメディアとしては、駅ポスターや、駅看板(ボード)、駅構内のデジタルサイネージなどが挙げられます。ミニマムな展開が可能な単体の駅ポスターから、大々的な展開で活用できるターミナル駅の大型広告メディアまで、多種多様なメディア形態があります。
オフィス街の駅や学校の最寄り駅であれば、「Repeat 繰り返し届く」「Recency 売場近くで届く」の特性を生かしたコミュニケーションが可能ですし、大型の駅メディアでインパクトある訴求を行えば、「Share さらに届く」の効果を狙うことができます。
デジタルサイネージの普及も都内ターミナル駅のみならず全国各地で進んできており、「●●駅といえばあの大型ビジョン」というアイコニックな広告メディアも増えてきております。
代表例はビルなどの建物に設置された大型のボードやビジョンですが、その他にもタクシーメディア、イベントスペース、店舗施設のレジやカウンター横などにあるPOPやビジョン、果ては商品購入時のサンプリング特典など、その種類・形態は多岐にわたり、さまざまなニーズに対して応えることが可能です。
主要なメディアとしてはやはりビルボードやビジョンで、これらは大型の広告媒体でインパクトの強い訴求が可能であることに加え、建築物の形状を生かした3Dクリエイティブを放映できるサイネージメディアも存在します。これまでにない広告表現は、広告接触者に多大なインパクトを与えることができ、「Share さらに届く」の特徴を発揮するのに優れます。
また、タクシー車内のサイネージは、ターゲットのセグメントに優れており、ビジネスパーソン層を狙ったBtoB商材を持つ広告主様に人気です。
こういったさまざまなメディアの使い分けについては、こちらの記事でも詳しくご紹介しておりますので、具体的な出稿をご検討の際はぜひご参考ください。
それでは、OOHメディアを最大限活用するためのポイントについて解説していきます。有効なOOHキャンペーンを展開するためには、以下2つのポイントを意識することが重要です。
まずは、OOHの「予期せぬ出会い力」です。主流となっているデジタル媒体は、性年代や当人の興味関心ターゲットをセグメント配信できることに強みを持っています。もちろん大きな武器であることは間違いないですが、興味関心のある特定の性年代層以外には届かない広告という性質と表裏一体です。一方で、OOHは性別や年代や興味関心で分類してのピンポイントな訴求はできませんが、裏を返せば偶然通りかかった人でも接触する可能性があります。コミュニケーションターゲット以外の潜在層にリアルな広告体験として広告を見せることで、新たな出会いを生むことができ、ブランド・商品ユーザーの裾野を広げることにつながります。
次に着目したいのが、「リアルの場でのコミュニケーション」が可能なメディアという点です。TVやデジタル広告も、リーチにおけるメディアパワーは非常に高いですが、その広告リーチは、基本的には電波やネット上での1情報という立ち位置です。一方で、OOHメディアは、生活動線上でリアルな広告物と接触します。そのリーチは「リアルな体験」として、生活者の記憶に残ります。企業やブランドの強いメッセージ性のある広告であれば、タイムライン上で流れる広告より、一層のインパクトを持って、受け手に届くのではないでしょうか。
また、これら2つのポイントと非常に相性が良いのが、エンターテインメント系コンテンツです。日常の移動途中で、ふとした時に自分が好きな著名人・タレントさんが起用された広告を見たとしましょう。予期せぬ出会いだからこそ、その広告のインパクトは絶大なものとなり、ポジティブな印象を受けやすくなります。さらに、OOH広告は、実施期間中であれば意図的に接触することも可能です。そのため、ファンの方々は楽曲・映画などの作品告知広告の情報が入れば、その広告をリアルに見ることができます。だからこそ、ファンの間のSNSでは広告情報がシェアされやすく、前述の「Share さらに届く」で述べたような二次的波及効果を得ることができます。
具体的なOOHメディアの展開事例も、本サイトで数多く紹介しております。また、OOHメディアをご活用された広告主様がコミュニケーション戦略全体の中で、どのようにOOHメディアを位置づけ、どのような役割を求めているか掘り下げたコンテンツもございますので、詳しくは以下画像先のリンクをご覧ください。
ここでは、「OOHメディアに興味があるけれど、出稿のやり方・進め方がわからない」という方に向けて、広告出稿までの一連の流れをご紹介します。
広告メディアの申し込みは、広告代理店を通してOOHメディアの媒体社に申請する必要があります。
「OOHメディア展開をしたことがないから不安」「広告展開を行いたいけれど、商材やKPIに合ったOOHメディアがわからない」といった方も、お問い合わせは、方針を固めきらなくても問題ございません。
弊社ジェイアール東日本企画は、OOHのプロフェッショナルが、プロモーションの対象商材や、掲出時期やエリア、ご予算などのご希望をお伺いし、最適な広告プランをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。
広告主様および広告展開を行う商材について、各媒体社の承認審査にかけさせていただきます。
※OOHメディア媒体社はそれぞれ広告を行う業種などに独自のルールがあり、一部の広告内容は行うことができない可能性もございます。
媒体社側の広告主様・商材の審査が終了し、広告展開が決定した後、ご希望の広告メディアの枠を確保します。広告枠は、基本的に決定優先(早い者勝ち)となります。また、枠の確保後はキャンセルができませんのでご注意ください。
申し込みを行った広告枠で、掲出(放映)されるデザイン(意匠)が問題ないか、媒体社側にデザインを提出し、審査を行います。この審査で承認となったデザインは、広告掲出(放映)が可能になります。意匠審査はほとんどの鉄道は1~2営業日で審査回答がありますが、進行システム上1~2週間程度かかる媒体もございますので、制作スケジュールを考える際は注意が必要です。
※媒体社によって審査基準が異なりますので予めご了承ください。
意匠審査が完了し、実際に掲出(放映)するポスターや動画データを媒体社に納品します。納品期限は、メディアの種類にもよりますが、1~2週間前がめどとなることが多いです。
サイズやデータの形式などは、各媒体によって入稿仕様の指定がございますので、事前に確認が必要になります。
こちらはあくまで一例となり、一部の媒体は特殊な進行ステップや確認事項がある場合がございます。ご不明な点等は、こちらへお気軽に申し付けください。
新型コロナウイルスのパンデミックは、OOHメディア業界全体に大きな影響を与えました。2020~2021年にかけての度重なる緊急事態宣言による生活者の移動減少に伴うメディアパワー低下など、ネガティブな影響が多いのも事実です。一方で、広告効果の可視化という課題がより一層浮き彫りになったOOHメディア業界全体の進化を加速させた側面もあります。
例えば、広告効果の可視化という課題に対しては、広告効果の可視化はGPSやキャリア基地局の位置情報データ、Wi-Fi・ビーコンなどでメディア前の人流を計測し、広告効果を他媒体と横並びで評価する指標を作る動きが、媒体社および広告会社で進んでおります。また、OOHメディア独自の価値を突き詰める試みも実施されており、テレビやデジタル広告にはない3Dクリエイティブの放映が可能である屋外ビジョンや、強烈なインパクトを残す超大型の駅構内デジタルサイネージが新設されているのは、その最たる例といえます。
さらに、ただ固定のサイネージメディアで広告放映するだけでなく、複数のサイネージをネットワークで連結し、デジタルアドネットワークのように効率よく報告を放映するプログラマティック配信を活用した販売方法も実現してきております。
OOHは、テクノロジーの進化に伴い、広告主と生活者双方にこれまでにない価値を生み出すメディアとして発展を遂げる注目のメディアといえます。
OOHメディアは、非常にポテンシャルを秘めている一方、広義かつニッチ要素を多分に含むメディアであるため、これまではその活用ノウハウが限られている側面もございましたが、「競合他社とのコミュニケーションの差別化を図りたい」「デジタル広告だけでは、認知度拡大や潜在層の開拓に限界がきている」といった広告主様から、注目を浴びることが増えてまいりました。
当社ジェイアール東日本企画は、名前に「ジェイアール東日本」と付いておりますが、私鉄各線を含め全国各地のOOHメディアを取扱っており、実績も豊富です。決して特定のOOHメディアに比重が寄ることなく、コミュニケーション課題に沿って最適なプロモーション企画やメディアソリューションをご提案可能ですので、お気軽にこちらからお問い合わせくださいませ。
いかがでしたでしょうか? OOHは古くから存在するメディアではありますが、他メディアにはない独自の立ち位置と、テクノロジーの進化によるますます発展するポテンシャルを秘めた非常に面白いメディアです。この記事を通してその魅力やメリットを少しでも多くの方に知っていただけたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。